2026年7月
7日(火)
エルンスト・ルビッチ『小間使』(1946)を見る。彼が完成まで関わった最後の作品。ラストシーンでルビッチの技術の高さが垣間見えるし、全体がべらぼうに面白い。
最近大学で始まった映画のシューレでは、ハル・ハートリーの『Simple Men』(1992)を見た。
6日(月)
エルンスト・ルビッチ『ニノチカ』(1939)を見る。
ルビッチ作品の登場人物たちはお互いに目を合わせて会話をし、その様子がヒキで撮影されている。だからこそ画面上には親密さのようなものが発生する。『ニノチカ』もそのような親密さに溢れる素晴らしい作品だった。そして何よりもグレタ・ガルボとメルヴィン・ダグラスの演技の上手さに目を奪われる。自信に満ち溢れた立ち振る舞いや、恐らくは無意識でやっているのであろう目線や口端の動き。ルビッチの効果的な長回しや、脚本のテンポの良さによって俳優たちは一層華やぐ。
5日(日)
ユーロスペースとシネマヴェーラへ。
ロベール・ブレッソン『スリ』(1959)
映画館で見て良かったと思える作品だった。
登場人物の目線の上げ下げと手の動き。クロード・ベリ『チャオ・パンタン 4K』(1983)
最後のわざとらしいモンタージュ。
フレディ・M・ムーラー『緑の山』(1990)
最初の方は見方が分からず眠りに落ちてしまった。が、取材を受けている一人一人のこれまでの背景を想像する事で少し面白く感じてきた。高濃度と比べて低濃度廃棄物が決して安全なわけでは無いということを研究者が述べていたが、具体的にはなぜそうなのかをもっと教えてほしかった。
ロバート・ワイズ『生まれながらの殺し屋 Born to Kill』(1947)
ブレッソン作品に出てくる人物たちの繊細な演技とは対照的に、見ていて楽しく華があるハリウッド俳優たちの演技。ストーリーも面白かった。
4日(土)
機会があり、Meg Bonusと野口 文が出演しているSWANというイベントに行ってきた。会場はMoN Takanawaという高輪ゲートウェイにある建物で、新築という事もあり綺麗。各自で自分の椅子を取り、好きな場所に置いて見るというスタイルで対バンなので会場の入り口から入って右にMeg Bonus、左に野口 文のステージがあった。どちらも見えるように会場の中心付近に椅子を置く。Meg Bonusが演奏している後ろがガラス張りになっており、そこから見える高輪ゲートウェイの風景が見応えあった。野口文は聞いている間に音が段々と身体に沁み込んでくる感覚があり、次にどのような音が来るのかと楽しみながら聞いていた。
帰り道に近所の名店に寄ってみると、マスターが一人でカウンターに座って映画を見ていた。普段は夫婦二人でやっているのだが(マスターは基本的にカウンターに座ってお客さんとおしゃべりしている)、この日はママが酔っ払いすぎてしまった為先に帰らせたそう。普段もこうして朝までカウンターで映画を見ているらしい。
歓迎してくださり、マスターが大好きなラデュ・ミヘイレアニュ『オーケストラ!』(2009)を一緒に見た。この映画ではラストでオーケストラがチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏する。お店のスピーカーが何故かめちゃめちゃ良いのも相まって、このシーンを見て不覚にも涙ぐんでしまった。マスターは泣いていた。オーケストラ繋がりで続けてヘンリー・コスターの『オーケストラの少女』(1937)を。これもマスターが大好きらしく、見ている間にディアナ・ダービンをしきりに誉めていた。ストーリーも、ディアナ・ダービンの歌声も最高級だった。映画を見終わり、丑三つ時だったのでお暇することに。お金を払おうとすると映画を見るのに付き合ってくれたから今日はいいよ、と財布を出さずに終わった。ありがたや。
3日(金)
瀬田なつき『Homestay』(2022)を見る。森絵都の小説『カラフル』が原作でAmazonオリジナル映画として製作されたらしい。
同監督の『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020)に引き続き山田杏奈さんの表情が素晴らしいし、主演の長尾謙杜さんのはみかみ具合がとても可愛かった。
2日(木)
フランシス・フォード・コッポラ『地獄の黙示録』(1979)を授業で見る。見終わった後、映画のエネルギーの重さにズーンとした気持ちになってしまいお昼頃であったが食欲が湧かなかった(朝食も食べていなかったのに!)。蕎麦なら食べられるだろうということになり蕎麦屋へ行く。
1日(水)
瀬田なつき『彼方からの手紙』(2008)を見る。東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了作品として制作されたらしい。自分がこれまで見てきた映画の中で、最高の一本に入るであろう大傑作だった。パンフレットの中で当時同研究科で教授を務めていた筒井武文監督が「突飛な前衛的怪作でありつつ、見車なハートウォーミング・コメディでもある形容しがたい、これこそ映画の奇跡と呼びたい一作。これに号泣しない人とはお付き合いしたくないとまで思わせる。」の仰られている。本当に、これに号泣しない人とはお付き合いしたくない。